アドラーの心理学と歯科医療
Top 最終更新日 2018/09/12


 
幸せになる勇気  ■ 幸せになる勇気: アドラーの心理学の第二段?
嫌われる勇気  ■ 嫌われる勇気: アドラーの心理学の第二段?

■ なかなか面白い本だよ。

・ 原因論と目的論か。確かに過去のトラウマは原因論だな。現症をストレスという原因論で片付けたら未来はないよな、たしかに。今度から目的論で患者さんに対応するかな。ただし、言うのは簡単だが、実際にどうするか?

・ 怒りとは出し入れ可能な道具か、なるほど。怒りがクレームの原因になるか、クレームを裏付けるために怒るか? 

・ 引き籠もりは、「不安だから外にでられない」ではない。「外に出たくないから、不安という感情を作り出している」。つまり、「忙しくて歯医者に行けない」ではない。「歯医者に行きたくないから、忙しい状況を作り出している」。

■ 自分の短所ばかり目に付くのは、自分を好きにならないでおこうと決心しているから、自分を好きにならないために長所を見ないで短所ばかり目にいく。自分を好きにならないことがその人における善(正義)。
・ 女学生が赤面症を治したいと相談にやってきた。治したらどうするかと尋ねたら、「好きな男性に告白してお付き合いしたい」という。しかし、実体は如何に?この女学生にとって一番恐ろしいことは、意中の男性に振られること。失恋によって全てが否定される。しかし、赤面症があるかぎり、「赤面症だから、男性に告白できないし、お付き合いもできない」と納得することができる。つまり、彼女にとって赤面症は必要なもの。だから、治らない。
・ 治さなければ、「赤面症が治ったら、私だって」という可能性(希望)の中に生きることができる。
・ 医学的にもこういったことは多く存在する。「神経性の症状」と言われるものもそうかな。 ひょっとしたら抗原抗体反応(アレルギー反応)なんかもそうなのかなぁ?
・ 女学生にとって必要なのは、赤面症を治すことではなく勇気づけ。結果がどうなっても前に踏み出す勇気が必要。営業マンが、訪問営業で、「また断られるのではないか」と思って営業が上手くいかないのも女学生の心理と同じかなぁ。

■  受験生が、「合格したら」。就活生が、「就職したら」。実際、願いがかなっても、なにもかわらない。

■ 劣等感のある人は、自分を好きになれない人。「他人から嫌われ、対人関係の中で傷つくのを極度に恐れている」から引きこもる。最初からだれとも関わりをもたないほうがましだと思っている。これが目的(目的論)
・ その目的を達成するためには、自分の短所をみつけ、自分のことを嫌いになり、対人関係に踏み出さない人になればいい。自分はこういう短所があるから人に好かれないんだという言い訳。
・ 女性が痩せたいと思う気持ちも、ひょっとしたら同じ心理か?それによって、何を達成したいのだろう。
・ しかし、対人関係で傷つかないことなんかない。
・ アドラー曰わく、「悩みを消しさるには、宇宙の中でただひとりで生きるしかない」
・ 1人だから孤独なのではない。集団の中で疎外されるからこどく。
・ 悩みは全部対人関係の悩みというが、健康の悩みなんかはどうなんだろう。
・ 身長が高くなりたいという気持ち(劣等感)。でも、身長が高いと威圧感が生じる。身長が低いと相手は警戒心をといてくれる。たしかに、そうかもなぁ。小柄なことは周囲にとっては望ましいこと。
・ 我々を苦しめる劣等感は、客観的事実ではなく、主観的解釈(感情)。主観は、自由に選択可能。夏の15度は寒いが、冬の15度は暖かい。
・ 言い訳としての劣等コンプレックス。
・ 人生は優越性の追求。たとえば、低賃金にあえぐ人たちは、日本という社会で生きているから、他の裕福な人たちと比較して劣等感を抱いたり、上昇志向を持ったりする。そんな人でも発展途上国にいけば劣等感は消えるかもしれない。そして、戦後の日本はみな貧乏だったが劣等感はなかった。なんたって、みんな同じだから。学校の成績もそうかなぁ。たとえ試験で80点をとってもまわりの同級生がみな90点なら。ぎゃくに、過疎地で学校にその子しかいなかったなら。
・ 劣等感は努力や生長を促すきっかけになりえる。
・ AだからBができない。これは劣等感?学歴が低くければ、いい会社に入れない。これは、「みかけの因果律」。本来は因果関係がないが、あたかも重大な因果関係があるように、自らをはじめとする説明し納得していまう。
・ 「自分がなかなか結婚できないのは、自分が子供時代に離婚したから。」「自分は学歴が低いから成功できない」は、成功したくない。目的論。
・ 単に、一歩前に踏み出すことが怖い。現実的な努力をしたくない。今の楽しみ(遊びや趣味の時間)を犠牲にしてまで変わりたくない。ライフスタイルを変える勇気がない。これ、私。

■ 相手からどう思われているかも大事

「相手から愛されている時は何を言っても気にいられ、ますます近づけられる。逆に憎まれている時は何を言っても受け入れられず咎めをうける。」

※ これも日常診療で、良くお目にかかる。

 例えば、患者さんとの信頼関係が深く形成されている時は、少々の医療事故も笑ってすまされることが多いが、一旦信頼関係が崩れると過去に遡って医療事故の追及がなされる。そして、人と人との間の信頼関係はガラスの階段である。信頼関係のある人への対応は意外に気を抜きがちなのでかえって大きなトラブルに成りがちなので注意が必要だ。

 ただ、その弊害もないでは無い。ある患者さん、食べたラーメンの中にガラスの破片が入っていて、それを咬んで歯がかけたとのこと。ラーメンの中にガラス片。これはあるべきものでは無いし、第一危険だ。通常なら、その場で店に文句の一つもいうところなのだろうが、「知り合いの店なので文句も言えなくてねぇ。」とのこと。

 医療現場に置き換えると、知り合いの患者はちょっとのことでは文句もつけないから、そこに治療側の甘えが生じ、改善すべきことを見落としてしまう結果ともなりがち。

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