採用と退職
Top 最終更新日 2018/07/17

★ 雇用契約における注意

 一般的注意
# 必ず書面で「雇用契約」を結ぶ。
* 労働条件の明示: 「契約期間」「仕事をする場所と内容」「始業・終業の時刻と所定時間外労働の有無、休日、休暇」「賃金」については文書で明示しなければならない。
# 未成年者の場合には「身元引き受け、保証人」をとるが、保証人には時効?があるので注意。

 雇用契約を結ぶ場合に注意すべき事項(雇用条件)
# 労働契約: 労働基準法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効。
# 労働時間: 原則として、週に40時間、1日に8時間(休憩時間を除く)を超えて労働させてはいけない。これを超える場合には、労働組合や労働者の代表と書面によって協定し、労働基準監督署に届出が必要。
# 休憩: 労働時間が1日6時間を超えたら45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間が必要。
# 休日: 少なくとも1週1日以上か4週間に4日以上必要です。
# 時間外・休日・深夜労働: 通常労働の2割5分以上の割増賃金を支払う必要がある。
# 解雇: 30日以前に予告するか30日以上の平均賃金を支払わなければならない。
# 最低年齢: 原則として満15才に満たない児童を労働者として使用することはできない。
# 有給休暇: 継続勤務年数等に応じ一定の有給休暇を与える必要がある。
# 就業規則: 常時10人以上の労働者を使用する企業は就業規則を作成し、労働基準監督署に届出なければならない。

 就業規則 就業規則の雛形
(1) 必ず記載しなければならない内容: 「労働時間関連」「賃金関連」「退職関連」の事項
(2) 定めがある場合に記載しなければならない内容: 
* 退職手当: 支給対象範囲の労働者、退職手当の決定や計算や支払いの方法
* 労働者の負担する費用など: 食費、旅行積立
* 表彰及び制裁の種類や程度に関する事項
(3) 任意記載の内容: いろいろ

★ 採用のためのチェックポイント(公正な採用選考について)
 
【採用のためにチェックポイント(厚生労働省資料より)】

# 公正な採用選考について
・ 採用選考に当たっては、応募者の基本的人権を尊重すること。
・ 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと。
・ 公正な採用選考を行う基本は、応募者に広く門戸を開くこと。
 言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること。
・ 本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと。
 つまり、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うこと
 
# 公正な採用選考を行うためには
・ 公正な採用選考を行うことは、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
 そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。
・ なお、個人情報保護の観点からも、職業安定法第5条の4及び平成11年告示第141号により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められません。
・ 『応募用紙』については、新規中卒者は「職業相談票(乙)」、新規高卒者は「全国高等学校統一応募書類」を用いることとされています。また新規大卒者は「新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例」又は「JIS規格の様式例に基づいた履歴書」、一般は「JIS規格の様式例に基づいた履歴書」を用いるようにし、雇用主が独自に応募用紙やエントリーシート(インターネット上の応募入力画面)の項目・様式を設定する場合は、適性と能力に関係のない事項を含めないよう留意しましょう。
・ 『面接』を行う場合についても、職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう。
 
# 採用選考時に配慮すべき事項
次の「a」や「b」のような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、「c」を実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
 
【a.本人に責任のない事項の把握】
・ 本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・ 家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・ 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・ 生活環境・家庭環境などに関すること
 
【b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握】
・ 宗教に関すること
・ 支持政党に関すること
・ 人生観、生活信条に関すること
・ 尊敬する人物に関すること
・ 思想に関すること
・ 労働組合・学生運動など社会運動に関すること
・ 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
 
【c.採用選考の方法】
・ 身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・ 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

★ 勤務医の雇用時の注意
# 歯科医師免許証の原本、及び臨床研修修了登録証の原本の確認 【詳細

 

★ 従業員を雇用したときに必要となるもの

 (1)源泉徴収義務者
 1人でも従業員を雇用していると源泉徴収義務者となり、月々の給与から所得税の源泉徴収を行い、翌月の10日まで納付しなければなりません。
 ただし、歯科医院は零細事業所が多いので、こういった事務の繁雑さを避けるため、常時の従業員が10人未満の事業所は源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を所轄の税務署に提出することによって、7月と1月にまとめて支払うことができます。
 昔のことで忘れましたが、歯科医院の開業時に税務署に開業届を提出すると、源泉徴収義務者番号を交付されたような気がしますので、特別の手続きはいらなかったと思います。

 (2)労働保険
 従業員を雇用すると労働保険に加入しなければなりません。歯科医院に限らない話ですが、零細事業所では労働保険に加入していないところもありますが、本来は任意加入ではありませんので違法行為となります。
 この労働保険の加入手続きは、ハローワークで行うことができますが、保険料納付の実務上面倒と感じる方は社会保険労務士に委託したり、労働保険事務組合を利用すれば便利です。
 労働保険事務組合は地域の商工会や歯科医師会で設立しているところがあります。ちなみに保険料ですが歯科医院を含めた一般の事業所では、こうなっています

 労働保険について概要を以下に記載しますので御参考まで。

# 労働保険(雇用保険+労災保険)は従業員を1人以上雇用する場合には必ず加入しなければならない。
# 労働保険に加入するには
(1) 社会保険労務士に手続きを依頼する。
(2) 労働保険組合に委託する。これは歯科医師会や商工組合でやっていることが多いです。
(3) 職安(ハローワーク)で自分で手続きする。
# いつ加入するか?
 従業員を採用時に手続きを行います。基本的には開業と同時と言うことになりますが、例えば16日から開業するの準備として1日から従業員を雇った場合には1日に手続きを行います。
【参考】 労働保険制度(制度紹介・手続き案内)厚生労働省

 (3)健康保険
 原則的に常時5人以上の従業員を雇用している事業者は健康保険法における健康保険に加入しなければなりません。
しかし5人以下の歯科医院においては「市町村国保」または「歯科医師国保」に加入することが通例で、歯科医師国保には、都道府県単独の歯科医師国保や栃木県に本部のある全国歯科医師国保が存在します。

 (4)年金
 原則的に常時5人以上の従業員を雇用している事業者は厚生年金に加入、それ以下の零細歯科医院は従業員が個々に国民年金に加入するところが多いと思われます。
 厚生年金は1/2の事業主負担がありますが、国民年金では事業主負担が無いため負担軽減と考える考え方もありますが。福利厚生の考え方から国民年金保険料の一部を手当てとして給与に加えて支給する方法もあり、従業員の雇用条件の向上には有効な方法と思われます。

★ 従業員の採用の際、例えば歯科医師や歯科衛生士の資格確認は必ず免許証の原本で確認しましょう。
# 勤務医の雇用: 歯科医師免許証の原本、及び臨床研修修了登録証の原本の確認 【詳細

★ 解雇

# 従業員を解雇する場合には何日前に通告すれば良いですか?

・ 例外を除き労働基準法第20条により30日前と定められています。なお、平均賃金1日を支払うことにより、日数はその分短縮されます。

# 解雇の条件:  (1)解雇の必要性がある、(2)解雇を避ける努力をした、(3)解雇者の選び方が合理的、(4)労使協議の手続きが妥当

# 解雇時のハローワークへの届出
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other31/index.html
一般に、従業員を解雇したからと行って、特に届出は必要ありませんが、特定の事例においては届出が必要とされています。
その必要な場合とは、
(1) 一定期間内に相当数の離職者が発生する場合。
(2) 新規学卒者の採用内定取り消し等を行う場合。
(3) 高齢者等が解雇等により離職する場合。
(4) 障害者を解雇する場合。
(5) 雇用する外国人が離職する場合。
まぁ、以上の各例とも歯科医院では発生する可能性は少ないのですが、留意する必要があります。

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