歯科医院数 VS コンビニ数
Top 最終更新日 2018/04/14

★ 160705: 歯科医院とコンビニの比較
よく、歯科医院はコンビニの数より多いとの比較があるが、今日は売り上げの比較をしてみるか。
2015年度上半期のセブンイレブンの1店舗あたりの1日の売上高は66.8万円ちなみにローソン55.1万円、ファミリーマート52.1万円、サークルKサンクス43.8万円。
歯科医院とコンビニは年間の稼働日数や時間は異なるが、仮に保険診療で1日50万円稼ぐとすれば、年間250診療日で年間売り上げは1億2500万円。そもそも、原価率が違うし、ここから利益額を計算しようとしても意味が無いなぁ。仮に、1日10時間しゃかりきに診療すると仮定すれば、1時間に50000円。保険診療の平均点数を600点として、1時間に8人。これだけこなすには、歯科医1名ではちょと無理。

★ 150725: コンビニと歯科医院の数 その3
 さて、歯科医院の数の方がコンビニより多いというのはインパクトがある話題のようですね。そこで、今日はその第三弾です。
 今は若干異なってきましたが、元々コンビニの客層の主たるターゲットは30才代男性と言われていました。もちろんこれらの年代以外の人が利用しない訳ではありませんが、この様にコアのマーケットは意外に狭いです。そして、今後の少子高齢化によってこれらのコアの年代の人口はだんだんと少なくなっていきます。そのためコンビニでは、高齢者や女性などをターゲットとした店舗展開も進めているようですね。
 それに対して、歯科医院のターゲットは全年齢階層にわたります。しかし、有病率や受診率などを踏まえると今後高齢者層が増加すると事実上、歯科医の仕事は増えていくと考えていいでしょう。特に、昨今残存歯数が増加するにつれて、義歯の作製からPのメンテナンスなどに診療の主体が移りつつあるといってもいいでしょう。
 たしかに、グロスの点数はPのメンテナンスよりも義歯などの補綴物の方が高いですが、補綴物は経費率(原価率)が高い。もちろん、こういった計算には時間コストも考慮しなければならないが、計算が面倒なので今回は割愛する。
 経費率が高いと言うことは、最終目的の院長にどのくらいの所得が残るかを考えた時には歩が悪い。とくに、保険に限っていえば年間のキャパシティが約二兆円と、ほぼ固定されているわけだから、所得を伸ばすには患者数を増やして一生懸命働くという考えや、経費を減らしていくという考えがあります。二兆円を仮に八万人の歯科医師で分け合うという前提で計算すると、歯科医師一人当たり年間約2500万円の売上という事になりが、仮に色んな方法で経費率を10%下げることが出来れば、一人当たりの所得は年間250万円増えることになります。しかし、経費削減といっても、なかなか固定経費を下げることは難しいにが実情です。そこで考えられるのが、原価率の低い治療へのシフトです。しかし、原価率の低い治療を中心に据えて、原価率の高い治療と同程度の収入を得るのはなかなか骨の折れる話で、経費はへったが、収入はそれ以上に減って所得が減少したというような、いわばデフレスパイラル的な状態にならないように注意が必要なのです。
 歯科医院の経営戦略は、院長の技量や立地条件によって大きく変わりますが、今後の高齢化の進行は人口減少を補完する方向でプラスに働くことは間違いないと思います。
 したがって、単純計算ではコンビニのマーケットは縮小、歯科医院のマーケットは拡大と
このように、業態の違うコンビニと歯科医院の数を単純に比較しても無意味なのである。

★ 150608: 神社仏閣の数
よく、歯科医院の数はコンビニよりも多いと言われるが、歯科医院よりも神社の数の方が多いってばよ。まぁ、こんな比較対象自体意味ないが。
     
■ お寺の数が一番多いのは愛知県だが密度は滋賀県が一位。
・ 寺院数: 愛知県(4651)、大阪府(3393)、兵庫県(3285)、滋賀県(3222)、京都府(3082)。
・ 人口1万人あたりのお寺の数: 滋賀県(22.8)、福井県(21.4)、島根県(18.8)、山梨県(17.4)、和歌山県(16.2)。
※ 全国では77,552。
      
■ 神社の数が一番多いのは新潟県だが密度は高知県が一位。
・ 神社数: 新潟県(4776)、兵庫県(3861)、福岡県(3424)、愛知県(3364)、岐阜県(3283)。
・ 人口1万人あたりの神社の数: 高知県(29.0)、福井県(21.5)、富山県(21.2)、新潟県(20.3)、徳島県(17.0)。
※ 全国では81,317。

★ 150303: 再度「歯科医院とコンビニ」の数
 また言ってらぁ。週刊誌ネタならまだしも、テレビ局がこういった認識では困るなぁ。そもそも業態のちがう歯科医院とコンビニを比べること自体ナンセンス。「新聞社(111)よりも多いテレビ局(129)数」の比較みたいなもんだよね。そういう意味では池上さんでさえも経済(実態)がわかってない。と、本人も著書の中で書いているくらいだから。
 客単価、原価率、その他モロモロの条件がまったくちがうからなぁ。異業種の比較じたいナンセンス。まぁ、あおりの理論でしょうねぇ(笑)。でも、パッシングされても大人は怒らない!
 加えて言えば、同じ歯科でも、一般歯科、口腔外科、小児歯科、矯正歯科は微妙に業態がちがうといえるから、マーケットの違いもあって、「数」で比較してもナンセンス。
 また、同じ一般歯科でも、その経営方針で原価率なんかは大きく異なる。たとえば、院内に技工士がいると原価率は下がるねぇ。もっとも、その分「給与、福利厚生、設備、材料」といった出費が増えるだけなんですが。
経済の根幹をのぞき見るためには、うわべの経済指標や統計ではわからないことが多々ある。そういう意味では報道というものは、薄っぺらな「とろろ昆布」のようなものかなぁ。もっとも、「とろろ昆布」も馬鹿にしたものではありません。根気よく行うと「芯(深・真)」にたどり着けますから。
http://www.news24.jp/articles/2015/02/27/07270117.html

★ 150109: 歯科医院とコンビニの比較
 最近、また歯科医師のワーキングプアを扱った記事をチラホラと目にします。まぁ、その気配はあるのでしょうが、いくつか疑問が。
・ 年収300万円以下のワーキングプアの歯科医
 これって勤務医のことなのか、開業医のことなのか?勤務医ならあり得るでしょうねぇ、経験年数にもよるが。もし、開業医なら疑問が。収入って、単純に言えば売り上げのことですから、これでは人件費もでない。まぁ、歯科医師1人でやるとか、奥さんと2人でやるとかのケースもあるだろうけどそれでもねぇ。仮に、所得ということならこれはあり得るかもなぁ。
・ 歯科医院とコンビニの比較
 これは前から書いているように、比較対象の業種の業態が違うから比較そのものの意味が無い。まず、数だけの比較で言えば、平成21年度全国理容店舗数・美容室店舗数&理容従業者数・美容従業者数実勢調査によると、全国の理容店は134,552、全国の美容室は223,645と、歯科医院よりも遙かに多い。
 また、比較対象を変えればこういうことも言える。新聞社の数(約176?)は地上波テレビ局(約129)よりも多い。電力会社なんかは全国で10社くらいかな?
 小売業と卸売業の違いなど、他にも上げたら切りが無いが、業態の違う物を、単に数だけで比較するのはナンセンスなのである。

★ 131004: コンビニと歯科医院数
歯科医院はコンビニよりも多いというのはよく言われる話。今までも、何回かそれに対する投稿を行ってきた。
# 2008/11/04: コンビニと歯科医院の数の比較
http://blog.dscyoffice.net/?eid=811633
# 2008/11/12: コンビニと歯科医院の数の比較 その後
http://blog.dscyoffice.net/?eid=814289
# 2012/10/12: 歯科医院はコンビニ数より多いの続編
http://blog.dscyoffice.net/?eid=941583
今回は、別の統計データが手に入ったので、追加。
 
・ 平成25年7月末現在の全国の歯科医院数は68,630。それに対して、全国のお寺の数は約77,000、神社の数は約81,000と歯科医院の数よりも多い。
 だからなんだ?いやこれ以上はコメントのしようが無い。しかしあえて言えば、「コンビニ」は「小売業」の一形態にすぎず、代替えとしては個人商店やスーパーやデパートがある。それに対して、お寺と言えば葬式やお墓というように人の人生にはかかせないものの一つ。したがっって、振興やお墓への埋葬と言った文化が続く限りにおいては一定の需要が続く。同様に、口腔内の疾患がある限りには、歯科医院に対する需要は続く。仮に、今後の食生活や生活様式の変化で口腔内疾患が激減すれば、それこそ歯科医院の数は今の1/10でも余るかもしれないし、逆に口腔疾患が激増すれば今の倍の歯科医院でも足りなくなるかもしれない。
 一つ言えることは、むし歯を中心とした口腔内疾患の多くは「文明病(現代病)」といわれるように、世の中の流れと大きく関係していることはたしかである。

★ 121012: 歯科医院はコンビニ数より多いの続編
前にも書きましたが業態が違う業種を一概に比べてもなんの意味もありません。有るとすればそれは、週間誌の見出し的なインパクトだけ。そこでまた今回も続編として。
# 日本フランチャイズチェーン協会の2011年統計資料によると、
・ 来客者数: 143億5,743万人(前年比+3.3%)
・ 客単価: 604.3円(前年比+4.7%)
・ 売上高: 8兆6,769億円(前年比+8.2%)
・ 店舗数: 4万4,403店(前年比+2.4%)
# 歯科医療
・ 歯科医院数: 68,514(2011年12月現在)
・ 歯科医療費: 2.7兆円(保険分)
・ 歯科1日当たりの医療費: 6,400円(保険分)
※ 歯科医療費は保険+私費だがこの数字には私費分が入っていない。医療経済実態調査によると平成21年度の医業収入における割合は保険86%、私費13%であるので、それを元に再計算すると、
・ 歯科医療費: 3.14兆円
・ 歯科1日当たりの医療費: 7,442円
・ 年間患者数(推計): 受診者延べ人数約4.3億人。
 
【考察】
(1) まず、いわゆる一人当たりの単価だが、歯科医療費の単価はコンビニの約12倍である。これはフランス料理店や中華料理店や割烹の客単価がファストフード店の何倍かになるのと同じである。
 
(2) 次に、一番のポイントはコンビニと歯科医院では業態が違い、原価比率に大きな差があるからである。例えば歯科医院の原価率は医療経済実態調査によると約8%である。しかしこの数字は実態をあらわしていない。なぜなら計算の分子になるのは「医薬品+歯科材料費」であるが、薬剤の院内処方の有無や、技工物の外注比率によって大きく異なるからである。そういったものも加味して計算すると、大体だが20%程度と思われる。
それに対してコンビニの原価率だが、良くわからないがおおざっぱに推定して80%くらいかな(もう少し少ないという数字もあるようだが取り合えず)と思われる。
従って、粗利益を単純に比べても歯科医院のそれはコンビニの4倍になるということである。この粗利益からいわゆる販売管理的な経費を除いて、最終的に事業主にどれくらい残るかがポイントなのである。ちなみに歯科医院の最終利益(収支差額)は売上の約33%である。この最終利益率の高さが、ある意味歯科医院の数がコンビニの数より多いという実態を支えているわけである。
 
(3) 比較対象には「店舗数」「1日来訪者数」「単価」「月間売上高」など様々な視点からの比較があるが、最終的に問題となるのはこういった数字が生み出す「利益」になるでしょう。業態の違う物を単に一つの数字で比べても仕方ないですね。ちなみ建設業者数は平成24年3月末現在約48万。たばこ販売許可店数は平成24年3月末現在約27万。酒屋の数は約8.5万でいずれも歯科医院数よりも多いですね。
 
(4) 歯科医院の数を減らすのに一番短絡的な方法は合併と大規模化。例えば人口10万人の都市に50(人口2,000人あたり一軒)の歯科医院があるとすれば、全国では約6万の歯科医院となる。そこで、50の歯科医院を合併させて、市の中心部と東西南北の5箇所の歯科医院に集約する。そうすれば、1箇所の歯科医院の歯科医師数は10人。交代制などを導入すれば、年中無休も可能だ。そして何よりも、歯科医師10人の歯科医院だからといって、X線装置など設備が10要るものは少ない。従って設備の稼働率の向上など様々な経費削減が行える。しかし、マイナスもある。患者さんの通院距離が伸びる上、好みの歯医者さんを選ぶことが不可能となる。この計算で合併すれば全国の歯科医院数は1.2万まで減りますね。ただし都市部ならともかく過疎地域には歯科医師10人の歯科医院は立地しない訳ですから、計算通りの合併をしたら歯科医院まで100Kmなんて地域も出ちゃうかも。
そもそも、現在のように医療機関が乱立する要因には、「自由開業制」と「自己資本を歯科医師が拠出する」という仕組みがある。例えば、歯科医師を全部公務員とし、医療機関を全て国が設置運営する。そうすれば、医療過疎地域の改善も図れるだろう。
しかし、話しはそうはうまく進まないでしょうねぇ。まず、経済的には大きな赤字になることは間違いないでしょうね。仮に歯科医師の収入を現在の開業医レベルから公務員としての勤務医レベルに下げるとしても、逆にコデンタルスタッフの給与を公務員並に上げる必要があるでしょうからね。現在の歯科医院の黒字の要因として大きな要素を占めるのは職員の給与の安さでしょうからね。
※ ということで、コデンタルスタッフの皆さん、いつも御世話になっております、御苦労様です。

★ 081112: コンビニと歯科医院の数の比較 その後
先日、自宅のトイレの水道の蛇口の水漏れで修理依頼。
作業時間は約15分で、パッキンを交換しただけで済んだが、その費用は6300円。それを、高いの安いのということが主旨では無い。水道の修理も歯科医療と同じように「時間コスト」で考えるべきもので、コンビニのように業態が違う物と比べても意味無いと言うことなのだ。

歯科医院となんとなく業態が似ているものはないかなぁ?と思って考えてみると、理容、美容業等は何となく似ていそうだ。そこで、全国の理容室、美容室の数を調べてみると、それぞれ約15万、約22万軒という数字が見つかった。歯科医院に比べてもかなりの数であることがおわかりでしょう。

つまり、歯科医院とコンビニという業態の違うものを比較するよりも、理容室や美容室のような似たような業態のものと比較した方が良いのかもしれません。とはいえ、単に数だけを比べるのもナンセンスなんですね。なんたって、マーケットやアクセス率、単価、利益率などが全く違いますから。ではどう違うの?

(1) マーケット: 「理容室や美容室」も「歯科医院」も、マーケットは日本に住んでいる人全てでしょう。しいて言えば、「理容室のターゲットは主に男性、子供」「美容室のターゲットは主に女性」、「歯科医院のターゲットは有病者」ということになるでしょうか。歯科の有病率は失念しましたが、少なくとも日本に住んでいる人全員ではないのでしょう。
(参考データ)
# 歯周疾患の有病率: 厚生労働省の歯科疾患実態調査(2005年)によると、歯周疾患の標的年齢(35-44・45-54才)の有病率はそれぞれ27%・43%。
# 齲触の有病率: 低年齢者のデータは目にしますが、国民全体の有病率ってどのくらいなんですかねぇ?御存知の方がおられたら教えて下さい。

(2) アクセス率: 「理容室や美容室」においては、来院の頻度。「歯科医院」においては「受診率」ということになるのでしょうか?「理容室や美容室」では「一生のうちで一度も行かない人なんていないでしょう」から、何ヶ月毎に行くかという数字がポイントでしょう。

(3) 単価及び収益率: たぶん単価は歯科医院の方が高いと思いますが、収益率はどうなんでしょうねぇ???この辺は全くわかりません。

そういったことを踏まえて、理容業、美容業のデータを調べてみました。

# 理容業界
平成16年度の店舗数は約14万店。従事者数は1店舗あたり2.1人。理容師数:約25万人。
1世帯当たりの理容年間支出(総務省 家計調査年報) : 平成17年で6,450円。

# 美容業界
平成16年度の店舗数は約21万店。従事者数は1店舗あたり2.6人。美容師数:約40万人。
1世帯当たりの美容年間支出(総務省 家計調査年報) : 平成17年で「パーマネント代:7,249円、カット代:6,040円)

# 総務省の統計によると
平成17年3月31日現在の世帯数は約5,038万世帯(人口約1億2687万人、1世帯人口約2.52人)これらから推測すると
(1) 理容業界の年間売上高: 約3250億円(1軒あたり232万円、理容師1人あたり130万円)
(2) 美容業界の年間売上高: 約6695億円(1軒あたり318万円、美容師1人あたり167万円)

このように、驚くほど少ない数字であることがわかる。計算に間違いがなければの話だが、、、(^_^;)

しかし、理容室も美容室も、いわゆる「主婦の片手間的な業態」が多く、その実態が1軒当たり、1人あたりの数字を押し下げているのではないだろうか?と、勝手な推論。

 ちなみに理容師1人あたりの売上高130万円をもとに稼働率を計算するとどうなるか?私が普段から行っている理容室の料金は3,900円(色々な客がいるであろうから平均単価を2000円とする)、所要時間は約1時間である。仮りに月に25日、年に300日営業すると仮定すると、130万円÷2000円=650人、つまり1日に2人の客しか扱わない計算となる。仮に実労8時間とすると、稼働率は約25%ということになる。

まぁ、あくまでも平均で計算するとこうなるというだけの話である。

そこでだが、医療業界は稼働率を100%に近づけて、やっと採算にのるというのが実情。もし、理容業界の稼働率を100%に近づけると、マーケットの総枠がかわらないとすると、今の4分の1の約6万人の理容師で済むということになる。しかし、その結果、理容室には人が列ぶという今の医療界と同じようなことが生ずるであろう。そうなんです、稼働率100%ということはお客さんにとっては非常に不便で困ったことなのです。

新幹線、航空機、ホテルなどがすべて稼働率100%になればどういうことになるか?たぶん、社会は麻痺するのであろう。しかし、今の医療界はそれに近い状態なのです。病院の決算などをみると、「病床の稼働率があがったために今年は黒字を確保」などの記述を見ることが良くあるが、その稼働率は90%以上なのである。「MRIの予約を取ると3ヵ月待ち」なども良く聞く話だ。昨今、問題になっている「周産期の救急患者のたらい回し事例」も、「医師不足」の他に、「ICUの稼働率を上げないと採算が取れないため、極力稼働率を上げる」、結果として「救急患者を受け入れられない」という結果が生じます。

在庫調整が可能な製造業や小売業とは違って、「医療」「理容・美容」「交通・宿泊」などの業界は、その時間に提供できる商品(サービス)を在庫としてとっておいて、後に提供するということは不可能なのです。そういった業態で、稼働率を90%や100%という基準で論じるのはナンセンスなのである。まぁ、「交通・宿泊」といった業界の採算稼働率は大体60〜70%でしょう。医療界もその程度の稼働率で健全な運営ができる時代がくることを願うのみである。

★ 081104: コンビニと歯科医院の数の比較
歯科医院が多いということを表すのによく使われるのがコンビニとの数の比較である。

果たして歯科医院はコンビニよりも多いのだろうか?

(1) コンビニの数: 日本経済新聞社の2007年度コンビニエンスストア調査によると、店舗数は44,542。
(2) 歯科医院の数: 2008年7月の医療施設動態調査によると68,075。

(3) コンビニの売上高合計: 日本経済新聞社の2007年度コンビニエンスストア調査によると、7兆8249億円。
(4) 歯科医院の売上高合計: 厚生労働省の国民医療費調査によると2006年の歯科医療費は2兆5039億円。

これらの数字からみると、確かに単純計算では歯科医院の数はコンビニの数の約1.53倍である。また1施設あたりの売上を見ると、歯科医院は約3678万円、コンビニは約1億7567万円となる。売上高を比べても歯科医院はコンビニのわずか20%にしかすぎない。しかし、そもそも業態の違う商売を単純の数値比較しても意味は無いので、少しでも近づけるべくさらに計算を進めたい。
(5) 歯科医院の粗利益率: 約75%。
(6) コンビニの粗利益率: 約30%
(5)は歯科医院の業態によってだいぶ異なるが一つの目安として上げてみた。
(6)は一般には粗利益率30%くらいと言われているがその内の40%(この数字は様々だが)はフランチャイズ料で持っていかれるので、実質的な粗利益率は30%×60%=18%と考えた方がいいでしょう。

これらの数字から。
(7) 歯科医院の粗利益額: 3678万円×75%=2759万円
(8) コンビニの粗利益額: 1億7567万円×18%=3162万円
という数値が出てくる。

こういった計算をする場合に一番問題になるのはオーナーの純利益であるが、業態が違い諸経費率も違うのでここからはなかなか計算しづらい。しかし、歯科医は未だに高額所得の代表格ととらえられているのに対して、コンビニのオーナーが高額所得という話は聞いたことはないので、たぶん経費率はコンビニの方が高く、純利益(申告所得)は歯科医師の方が多いと思われる。

次に別の視点から考えてみたい。
歯科医院のマーケットは言わずとしれた口腔内の有病者である。それから考えると現在の日本においてマーケットは日本人全員であると考えられる。問題は受診率で色々な施策でこの受診率をあげれば、マーケットの拡大は期待できる。

それに対してコンビニは言わずと知れた小売業である。小売業もマーケットは日本人(正確には日本に住む人)自体のパイはかなり大きい。しかし20年ほど前には1件もなかったコンビニがこの20年間で約8兆円というマーケットを築きあげたのである。その痛手を被った業態も多かったのだろう。しかし、そのターゲットはもともと20〜30才代の男性というように、ビジネスモデルの転換が必要という話も出ており、昨今では女性専用のコンビニとか老人対応のコンビニといった話も出てきている。

今後高齢者が増加して、若年層が減るという社会構造の変化が顕著に進めば、コンビニのターゲット客層が激減する可能性もあり、現在の客層が違う業態の小売業に奪われる可能性がある。

簡単にいうと、現在のコンビニという業態は、過去の「一般小売り商店」→「デパート」→「スーパー」→「コンビニ」→「宅配・インターネット・通販」の一つの過程にあるに過ぎないのだ。

しかし、歯科医療のターゲットは今後も歯科医療のターゲットから変わることには変わりない。しいて言えば、「むし歯の予防ワクチン」「歯周病の劇的治療法」などが開発されることによって有病率が下がれば、マーケット自体が縮小する恐れはあるのだが。

現在、歯科業界で問題となっているのは「歯科医師の過剰」による競争激化であるが、所詮それは歯科医療という孤立したマーケットというコップの中の嵐に過ぎないのである。

今後、それを解決するために、どの様な方策を実行するのか、概ね「歯科医師の参入の削減=歯科大学の定員削減又は歯科医師国家試験の合格率の低下」「マーケットの拡大=受診率の向上」の二つになるのではないかと思われる。

そもそも、医療というものは、好きこのんで行くものではなく、しかたなく渋々行くケースが主で、かく言う私もその口である。従って、今後受診率を向上させるためには、「苦痛のイメージのある治療」から「苦痛が軽減された予防」へとシフトする必要があろう。

先日車の中でラジオを聞いていたら、「昔は時計屋とメガネ屋は同じ所にあったものだが、最近はメガネ屋は沢山あるが、時計屋は街からすっかり姿を消してしまった」と言っていた。なるほど、最近はファッション以外に時計をする機会は少なく、私の携帯で事足りるから滅多に時計をすることはない。これでは、街から時計屋が消えるのも当たり前か。しかし、メガネはコンタクトというアイテムは誕生したものの、メガネというもの自体は衰退していないし、ファッションで使われる伊達メガネというマーケットもあらわれている。

さて、30年後今と同じような状態で存在するのは歯科医院か?コンビニか?興味のあるところである。

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