必要経費
Top 最終更新日 2017/06/21

歯科医院における支出についてであるが、税務会計における支出項目は一般に必要経費(法人税法においては損金)と言われる。しかし、必要経費にならない支出項目もたくさん存在する。

 その中の代表的なものが院長の生計費(家事費)である。この生計費が無いと、院長は生活ができない。しかし、中には生計費としての支出をせず、専従者給与を支給してそれを元に生計をたてる場合もある。

■ 医業支出

 医業支出とは、歯科医院の運営に必要な支出である。この分類には様々な方法があるが、その一例を以下に記載する。

■ その他の支出

 その他の支出として上げられるものには以下のようなものがある。

家事費、小規模共済、日歯年金、日歯福祉共済、国民年金保険料、借入金元金、自宅分の固定資産税・水道光熱費等、支払基金源泉税、歯科医師国保保険料、その他保険等。

 これらの支出は、日々の記帳の際には事業主貸しとして仕訳する。

材料薬品費

 基本的には、患者の口腔内に留まるものが「材料薬品費」に分類されると覚えればよい。
例えば、「12%金パラ」「銀合金」「コンポジットレジン」「義歯用レジン」「根管治療薬」「内服薬」等が代表的なものである。それに対して、患者の口腔内に留まらないもの、例えば「バイト用ワックス」「印象材」「石膏」「X線フィルム」等は消耗品費に分類される。

租税公課

 代表的なものには、固定資産税と事業税がある。
その他には通勤用自動車の自動車税も含める場合があるが、できれば車両費と言う仕訳項目を作成し、そちらに分類した方が良い。

水道光熱費

 電気、ガス、水道、暖房用灯油代等が該当する。 
医院と自宅が一緒でメーターが同一の場合には、必要経費にできる分とできない分に按分することを忘れないようにしましょう。

旅費交通費

 まず第一に上げられるのは、院長や専従者、そして職員の出張用の旅費であろう。
次に上げられるのが、院長や職員の通勤費である。院長の場合、公共交通機関を使用した通勤の場合の出費はこの項目に入れる。又、職員の通勤費用は、非課税所得として給与として計上しても良いが、給与における仕訳が複雑になるのと、労働保険料の課税対象となるので、できれば旅費交通費として処理した方が負担の軽減がはかれる。

通信費

 電話代、郵便代、宅配便代等が該当する。

宣伝広告費

 新聞、テレビ、ラジオ等への掲載広告費用、電柱広告、その他掲示板等への掲載費用等が該当する。

接待交際費

 お中元、お歳暮を中心とした交際費が該当するが、昨今の税務調査において交際費における否認が目立つようである。税務調査においては重点的にチェックされる項目の一つである事に注意してほしい。

損害保険料

 医事賠償保険、火災保険料等が該当する。
その他には通勤用自動車の自動車保険料も含める場合があるが、できれば車両費と言う仕訳項目を作成し、そちらに分類した方が良い。

修繕費

 医院の建物の修繕はもちろんのこと、ユニットを始めとした諸機械を修繕した場合の出費が該当する。しかし、その修繕費用が高額になると、必要経費としての修繕費ではなく、資産の取得として減価償却の必要性が生じるので注意しなければならない。

消耗品費

 材料薬品費の項でも述べたが、患者の口腔内に留まるものを除く多くの材料が該当する。
一般に歯科医院運営上、出入りの歯科商店から掛け買いにて材料を購入しているがその多くは消耗品費に該当すると言っても良いかもしれない。

減価償却費

 医院の建物はもちろんのこと、購入金額10万円以上(消費税抜きの金額でよい)の機械などは、規則に基づいて減価償却をする必要がある。

減価償却の概要
 建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産と言う。この減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるものではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。つまりそのものの劣化に応じて必要経費となります。この使用可能期間に当たるものを法定耐用年数と言います。

 なお、使用可能期間が1年未満のもの又は取得に要した金額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

★ 平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産は償却限度額と残存価格が廃止され、「新たな償却の方法」で償却できるようになります。具体的にはたとえば取得金額50万円、償却期間5年の償却資産を購入した場合の償却額は以下のようになります。
1年目: 100,000円
2年目: 100,000円
3年目: 100,000円
4年目: 100,000円
5年目:  99,999円(1円は備忘価格として残す)

 また少額減価償却資産特例は平成20年3月31日で終了となります。
 
 減価償却の方法には定額法と定率法などがあり、どの方法によるかは届出が必要です。例えば、新たに業務を始めた場合には、減価償却の方法を選定してその翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません。ただし、定額法を採用する場合には届出の必要はありません。

 中古資産を購入したときの耐用年数は別途計算によって算出する。
(1) 耐用年数を経過したもの 法定耐用年数×20%
(2) (法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×20%)

福利厚生費

 健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料等を法定福利費という。
それに対して、職員の健康診断、慰安旅行、忘年会費用、医局のお茶代、職員の慶弔費等を一般福利費と言う。

● 従業員の慰安旅行などの費用
  従業員の慰安旅行等の場合に事業主が負担した費用とその費用が従業員の給与として課税対象になるかの目安は以下の通りである。

(1) 従業員慰安旅行

 従業員の慰安旅行については、その旅行によって供与される従業員にとっての経済的利益の額が少額であって、少額の現物給与は課税対象外と言う趣旨により、原則として非課税(給与と見なさない)となる。しかし、その場合も以下の要件を満たさなければならない。

a 旅行の期間が4泊5日以内である。又、海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。
b 旅行に参加した人数が従業員全体の人数の半分以上であること。

 但し、上記の範囲内のものでも以下に該当する場合は給与となるので注意が必要である。

 役員だけで行う旅行・取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行・実質的に私的旅行と認められる旅行・金銭との選択が可能な旅行

(2) 研修旅行について

 研修旅行が事業所の業務を行うために必要な場合には、その費用は給与として課税されないが、直接必要でない場合には、研修旅行の費用が給与として課税される。
 必要と認められない費用の例としては以下のようなものがある。

同業者団体の主催する、主に観光旅行を目的とした団体旅行・旅行の斡旋業者などが主催する団体旅行・観光渡航の許可をもらい海外で行う研修旅行(この中で2・3番目の項目は該当するケースがあるので注意が必要だ。なぜならば、2番目は旅行費用を節減するために利用し、又3番目は短期間の渡航の場合には良く利用される理由である。しかし、きちんと研修のスケジュールを証明するものがあれば問題は無いので、証明する資料の整備だけは忘れてはならない。)

給与賃金

 これは言わずと知れた職員の給与である。
この中には、月々の給与、賞与、退職金が該当する。しかし、退職金については、給与賃金に含めず単独に「退職金」と言う項目を作って分類する方法もある。

● 

地代家賃

 この項目の代表的なものとしては、賃貸の家賃である。その他にリース代等も該当する。
 生計を一つにする親族の資産を借りた場合は賃貸料を払っても地代家賃にはなりません。しかし、その資産にかかる固定資産税は必要経費となります。

利子割引料

 この項目には、開業時の銀行からの借入金等が含まれる。しかし、借入先は銀行だけとは限らず一個の個人でもかまわない。しかし、借入先が「生計を同一とする親族(例えば妻)」の場合には、利息を払っても必要経費としては認められない。又、注意しなければならないこととして、月々の銀行への返済額の内、利子割引料として必要経費となるのは利子相当額だけであり、元金相当額は必要経費から除外し、事業主貸しに仕訳する。

諸会費

 この項目には歯科医師会費、保険医協会費等が該当する。

研究図書費

 月々の書籍代や講習会費用などが該当する。

外注技工料

 院内技工のみの歯科医院においては該当しないが、技工物を外注している歯科医院においてはかなりの高額として該当する。

衛生管理費

 白衣、衛生材料、廃棄物処理費用、洗剤代等が該当する。

事務用品費

 昔ながらの、ボールペンやノート代に加え昨今では会計用のソフト代等も含まれる。

車両費

 車両費という項目を設けず、ガソリン代は燃料費に、自動車税は租税考課に、自動車保険料は損害保険料に分類すると言う方法もある。しかし、この様な仕訳をすると、自家用車の維持管理に関する費用が多くの項目に分かれ、全体の把握が困難となる。又、自家用車に係る費用の全額が必要経費として算入できる場合だけとは限らず、場合によっては50%を事業主貸しとして繰り入れなければならないこともある。この様な場合、車両費として一括してあれば計算は勘弁となる。

雑費

 新聞代、NHKの視聴料、町内会費等が該当する。
 ところで、NHKの受信料であるが、家庭においては1世帯で1契約となっているが、事業所ではテレビ1台毎に1契約なので注意が必要だ。つまり、待合室と医局と院長室にそれぞれ1台のテレビがあれば、合計3契約が必要になるということになる。

専従者給与

 専従者給与を支給していれば該当する。しかし、その支給額が適切でなければ税務調査などで否認される場合があるので注意が必要である。

繰延資産償却費

 歯科医師会の入会金、会館の建設費の拠出金、開業前の準備費用などが該当する。

★ 開業費
例えば、平成20年7月1日に歯科医院を開業した場合、7月1日以降の支出金額は平成20年の決算の必要経費になるが、7月1日以前の以下のような支出はどうなるのだろうか?
(1) 開業の準備用の物品の購入費、印鑑、名刺等の作成費。
(2) 6月30日以前の家賃、給与など。
(3) 先輩歯科医院の見学用のおみやげ、業者との会合などの接待・交際費に関する費用。
(4) 開業のための調査、視察などのための旅費・交通費。
これらは、個人歯科医院などの所得税法上は、開業費として繰延資産となり5年以内の任意期間で償却することになります。

その他(中退金掛け金、貸し倒れ金等)

 職員の退職金の積立のために、中小企業退職金制度に加入していたり、又退職引当金を設定していた場合に該当する。また、一部負担金の貸し倒れ等があった場合には貸し倒れ金として処理する。一般には、医業収入の多くは「支払基金」や「国保連」から支払われ、又一部負担金もその都度支払われるため、貸し倒れ引当金を設定するほどの必要はない。

 保険診療において保険者支払い分の貸し倒れは原則として発生しません。発生する可能性があるのは、保険一部負担金と私費診療費に関してです。

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