歯科衛生士の職務範囲と(歯科)医行為
Top 最終更新日 2017/06/21

★ 歯科衛生士の診療の補助業務についての考え方(平成20年6月16日・日本歯科医学会 歯科衛生士業務に関わる検討会 資料より編集)
 なお、この資料には以下のように記載してあります。

歯科衛生士業務については、歯科衛生士法を所管する厚生労働省医政局歯科保健課に一義的に法的解釈権があり、事態によっては司法が判断を下すものである。今回、歯科医学会の示す歯科衛生士の診療の補助業務についての考え方は、歯科医療における学問的権威の見解であり、それがそのまま法的な規範となるものではないが、各方面においてその見解が尊重されることになるものと思慮するものである。

★ 以下は上記資料のうちの要点をまとめたものです。全文は「たしか平成20年8月初旬の日本歯科新聞に、また前文を含めた資料本体は日本歯科医師会のメンバーズページで見られる」そうです。

診療行為 備 考 学会名 絶対的医療行為度 歯科衛生士の経験・能力 要研修
低い 普通 高い
★ 一般的行為
インフォームドコンセント   イン 100 × × ×  
補綴
健康調査表(問診票)記入の補助(聞き取りして記載)   口外 0  
  老年 20  
初診時の健康検査票の記載事項の確認を行い、歯科医師に伝える 管理 50 ×  
初診時の食生活調査(聞き取り)   小児 0  
処方箋の口述記載   歯周 10  
口腔内の概診   管理 70 × ×
口腔外の診察(顔貌・構音・機能上の習慣などの診察なので敢えて分類すると「検査」でしょうか)   補綴 80 × ×
投薬時の薬剤と投与方法の確認   口外 50 ×  
  小児 80 × ×  
  老年 80 × ×  
服薬指導 管理 80 × ×
               
★ 共通行為
診断用模型の印象採得   小児 20  
歯周 20  
イン 20 ×  
保存 40 ×  
65 ×  
概形模型   補綴 30
               
★ X線関係
X線撮影の説明   イン 100 × × ×  
X線撮影(診療放射線技師法第24条により歯科医師以外は禁止) イン 100 × × ×  
保存 100 × × ×  
               
★ 麻酔関係
全身麻酔の手技(気管挿管、抜管など)   麻酔 100 × × ×  
ペインクリニックの手技   麻酔 100 × × ×  
吸入鎮静法の実施   麻酔 100 × × ×  
静脈内鎮静法の実施   麻酔 100 × × ×  
静脈内鎮静法時のモニタリング   障害 40 ×
笑気鎮静法時のモニタリング   障害 40 ×
表面麻酔薬の塗布 局所麻酔時 小児 10  
ラバー装着時 小児 20  
  歯周 10  
  口外 20  
  老年 50 ×  
  保存 50 ×  
  麻酔 50 ×  
浸潤麻酔# ほんとに良いの? 支台歯形成の前準備 補綴 50 ×  
  口外 80 × ×  
  保存 80 × ×
スケーリング等歯科衛生士業務遂行のため必要な場合 老年 90 × ×  
  歯周 100 × × ×  
  麻酔 100 × × ×  
伝達麻酔   麻酔 100 × × ×  
保存 100 × × ×  
輸液剤の交換・輸液速度の調節   麻酔 30 × ×
静脈確保   麻酔 70 × ×
  口外 70 × ×  
  老年 90 × ×  
採血   麻酔 70 × ×
  口外 70 × ×  
  イン 70 × ×  
  老年 90 × ×  
皮下・皮内・筋肉内注射   口外 80 × ×  
  老年 90 × ×  
               
★ 修復・補綴関係
齲窩の開拡・エンジンによる軟化象牙質除去・覆髄剤貼付 保存 100 × × ×  
窩洞形成   保存 100 × × ×  
補綴物(Cr・Br)の除去   100 × × ×  
窩洞・支台歯形成の前準備(歯肉圧排)   補綴 30  
保存 60 ×  
クラウンの支台歯形成・ブリッジの支台歯形成   補綴 100 × × ×  
インレーの印象採得   小児 50
保存 100 × × ×  
クラウンの精密印象   補綴 100 × × ×  
ブリッジの精密印象   補綴 100 × × ×  
有床義歯の印象採得   補綴 100 × × ×  
咬合採得   保存 100 × × ×  
クラウンの咬合採得   補綴 50 ×  
ブリッジの咬合採得   補綴 80 × ×  
有床義歯の咬合採得   補綴 100 × × ×  
義歯の装着   補綴 100 × × ×  
直接リライニング   補綴 100 × × ×  
間接リライニング用の印象採得   補綴 80 × ×
テンポラリークラウン(ブリッジ)の調整   補綴 30
100 × × ×  
インレーなどの咬合調整   保存 80 × ×  
クラウンの調整   補綴 80 × ×
ブリッジの調整   補綴 80 × ×
義歯の調整   補綴 100 × × ×  
義歯不適合部の確認と検査   老年 50 ×  
粘膜調整材の貼付   補綴 50 ×  
咬合調整   補綴 100 × × ×  
100 × × ×  
有床義歯のトレー調整   補綴 30
インレーの試適   保存 80 × ×  
クラウンの試適   補綴 80 × ×
ブリッジの試適   補綴 80 × ×
鑞義歯試適   補綴 100 × × ×  
テンポラリークラウンの仮着   補綴 30
クラウンの仮着   補綴 30
ブリッジの仮着   補綴 30
仮封   保存 50 ×  
小児 50 ×  
インレーなどの合着   保存 80 × ×  
クラウンの合着(他学会に揃えます)   補綴 80 × ×  
ブリッジの合着   補綴 80 × ×  
義歯床の研磨(他学会に揃えます)   補綴 30
形成修復物の研磨   小児 30  
成形充填材の研磨   保存 70 ×  
インレーなどの研磨   保存 30 ×  
窩洞の清掃   保存 40 ×  
エッチング・ボンディング操作   保存 70 ×  
成形充填材の填塞   保存 80 × ×  
               
★ 歯周関係
急性発作時の貼薬   歯周 100 × × ×  
暫間固定(歯質の削除)   歯周 100 × × ×  
歯面、根面研磨(PMTCなど)# いわゆるPMTCは歯科衛生士法第2条1項の1に定められた歯科衛生士本来の業務であり、歯科診療補助では無い。従って「○」。 歯周 10  
老年 60 ×  
歯石除去(縁上)   歯周 10  
スケーリング・ルートプレーニング(縁下)(SRP)   歯周 50 ×  
老年 60 ×  
歯周組織検査(プロービング) 歯周 50 ×  
補綴 30  
老年 40 ×  
歯周組織検査(動揺度、付着歯肉、歯間離開度検査等) 歯周 10  
歯肉包帯 保存 50 ×  
歯肉包帯(除去)   歯周 10  
歯周外科後処置(その他)   歯周 10  
歯周外科後処置(抜糸)   歯周 50 ×  
歯周ポケット内の洗浄と貼薬   老年 50 ×  
LDS(ペリオクリン) 歯周 60 × ×  
歯周ポケットの掻爬   歯周 70 × ×  
               
★ 歯内関係
抜髄・根管拡大・根管充填・断髄剤貼付   保存 100 × × ×  
EMR(電気的根管長測定)# EMRは根管治療の一連の作業としてファイル等を根管間に入れて行う行為なので歯科医師本人が行う検査では? 小児 60 ×
保存 80 × ×  
細菌培養検査での根管からの検体採取   保存 60 ×  
根管治療時の根管洗滌   小児 70 ×
  保存 70 ×  
根管貼薬   保存 80 × ×  
歯髄鎮痛消炎剤貼付   保存 80 × ×  
感染根管でのイオン導入   保存 70 ×  
               
★ 口腔外科関係
切開   口外 100 × × ×  
小手術後の洗浄   口外 50 ×  
軟膏塗布   口外 50 ×  
交換期乳歯抜去後の創面の洗滌   小児 60 ×
抜糸   口外 60 ×  
               
★ 小児・矯正関係
ワイヤーベンディング   矯正 100 × × ×  
床型咬合誘導装置作製の印象採得   小児 50
               
★ その他
マニピュレーション   100 × × ×  
血糖値測定   口外 0  
老年 30  
モニタの装着(血圧、心電図、パルスオキシメータ)   麻酔 10  
小児 30
イン 30 × ×
障害 30
口外 30  
老年 30  
口腔乾燥の検査(ガムテスト等)   老年 30  
口外 30  
補綴 30
咬合圧検査(デンタルプレスケール、咬合圧計等)   口外 30  
口臭検査   口外 30  
味覚検査   口外 30  
咀嚼能力(能率)検査   イン 30 × ×  
補綴 30  
咬合圧の検査(デンタルプレスケール・咬合力計等)   老年 40 ×  
装着したモニターの測定と監視および記録   口外 50 ×  
咬合検査(咬合紙などによる)   補綴 50 ×
ゴシックアーチ描記   補綴 50 ×
歯髄検査(歯髄電気診断器の使用)   補綴 50 ×
保存 50 ×
小児 60 ×
カリエスメーター   小児 60 ×  
歯間分離器具(セパレーター)の装着、撤去   小児 10  
修復物装着前の仮封材またはTekの除去   小児 10  
保存 40 ×  
ラバーダムの装着、撤去   小児 10  
  保存 40 ×  
障害者のラバーダム防湿 障害 40 ×
暫間固定(エナメルボンド等、除去)   歯周 50 ×  
象牙質知覚過敏症での薬剤貼付   保存 50 ×  
象牙質知覚過敏症でのイオン導入   保存 60 ×  
ホワイトニング   保存 70 ×  
救急救命処置   口外 80 × ×  
人工呼吸器の管理と操作   口外 80 × ×  

歯科衛生士業務に関わる検討会 資料 はここまで。


 歯科医療を行うに際して、職務範囲という概念を心得ておく必要があることは言うまでもない。広くは「医師と歯科医師の職務範囲」、狭くは「歯科医師と歯科衛生士の職務範囲」などが該当する。我々一般開業医にとって普段の診療において大事なのは後者であり「歯科医師と歯科衛生士の職務範囲」というものを心得て置く必要があると言うことである。その疑問を解くために医行為(医業)とはなにかということを理解しなければならない。なぜならば医行為(医業)は医師(歯科医師)の専権業務だからである。

 さて、医業・歯科医業がそれぞれの有資格者の専権業務であることは、「医師法第17条」「歯科医師法第17条」に定められていることは御存知のことと思うが、では医業(歯科医業)とは何かと尋ねられると「はてと首を傾げる」ことも多いかと思われる。同法においては「医行為を業として規制することは記載されているが、具体的な行為については明示されていない。そこで、まず医行為(医業)とは何かについて考えてみたい。

 なお以後の記載においては、法的概念に基づき「医行為」と「歯科医行為」を区別せず記載しているが、行為そのものにおいては区別されるべき内容であることをお断りしておく。

● 医行為と医業

医業とは「反覆継続の意思をもって医行為に従事すること」とされている。
一般社会通念によると、医行為とは「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」とされている。これは判例としても「最高裁判所昭和30年5月24日」であきらかにされている。

しかし単純に医行為といっても区分すれば以下の二つに区分される。

(1) 絶対的医行為
絶対的医行為であり、これは医師法第17条の「医師でなければ、医業をなしてはならない」に固執した考え方といえる。

(2) 相対的医行為
相対的医行為であり、医師の指示により第三者によっても行え得る行為であるとの考え方である。
この場合の第三者とは大きく分けて「医療関係者」と「非医療関係者」に区分される。
医療関係者における相対的医療行為の代表的なものに、「医師の指示により看護婦が行う注射」があり、非医療関係者における相対的医療行為の代表的なものに、「学校医の指示により教諭が行う医療ケア」がある。

 一般的に医師や歯科医師が、看護婦や衛生士に指示して行わせる行為はこの様な「相対的医行為」であり、その業務は「看護婦助産婦保健婦法」や「歯科衛生士法」で定められた「診療補助」の範囲とされる。この相対的医行為をどの程度の範囲で認めるかと言うことであるが、その認定は流動的であり指示された看護婦や歯科衛生士の臨床経験により差があると考えられている。それは「歯科衛生士への指示の目安(診療補助の行為の指示の適否)歯科衛生士養成所教授要綱」などにおいても明瞭である。

 なお医行為として禁じられるのは他人に対してであり、その場合依頼や同意があっても違法となる。しかし自ら、たとえば血圧を自己測定したり、自分の耳にピアスを空けることは禁じられていない。また医行為はあくまで人体に直接触れる行為に限定される。

ちなみに、視力測定・肺活量測定・身長体重計測・抜毛・検尿・検便・心理カウンセリング等は非医行為とされている。
  
● 医行為に関する判例

(医行為とされた判例)

(1) 接骨行為(大判大3・1・22)
(2) 需要者が病状を具しまたは病体を薬剤師の診断に供して治療の薬剤を求め、薬剤師がその判断にしたがい療法としての特定の薬剤を調
合して交付する行為(大判大6・3・19)
(3) 三稜鍼を用いて瀉血を行うこと(大判大11・3・17)
(4) トラホーム患者に対しピンセットを使用して患者の顆粒を取り去る行為(大判大11・11・17)
(5) 眼瞼より逆睫毛を抜き取る行為(大判大12・8・17)
(6) 柔道整復術者が探膿針を使用して化膿の有無を検査する行為(大判大12・12・22)
(7) マッサージ術免許者がいわゆる治病的マッサージ(たとえば膣内に二指を挿入して施す子宮整復のための摩擦等)を行うこと(大判昭2・7・6)
(8) 問診のみによる診察をしたうえ服用すべき薬草を指示しまたは患部を撫でもしくは揉む行為(大判昭6・7・9)
(9) 鍼術営業者が聴診器、験温器を使用して診察し適応薬(売薬なると調合剤なるとをとわず)を投与すること(大判昭7・2・24)
(10) 淋病患者に対しては疾病を診察したうえ尿道に硝子管を挿入して電気を通じ、神経痛患者に対しては湯桶に膝を入れしめて之に電気を通ずる行為(大判昭8・7・31)
(11) 吸角に蛭を入れ之を患部に差し当て吸い付かせて血液を吸収させた後その吸角に点火 したマッチを入れさらに血液を吸出する行為 (大判昭9・4・5)
(12) 眼疾患者に対し数十回にわたり自己発売に係る目薬の点眼および食塩水による眼の洗滌等の治療行為をなすこと(大判昭9・10・13)
(13) トラホーム患者を診察しその患部顆粒を紙捻に燈心を巻き付けたものを以て摩擦して破り血液をこれに吸収させた後ホーズキの汁をその患部に注入する行為(大判昭9・12・24)
(14) 月経不順の婦女に対し容態をきき病状を診断したうえ子宮鏡およびピンセットを使用して子宮内に通経丸と称する薬を充填する行為(大判昭10・11・11)
(15) 柔道整復術業者がレントゲン照射機を用いて人の負傷または疾患の部位を透視して骨折の有無、疾患の状態等を診察する行為(大判昭11・6・16)
(16) 高周波電流による透熱または紫外線放射を応用する療法(大判昭12・12・9)
(17) 診察をなさない治療行為または治療をなさない診察行為(大判昭13・5・19)
(18) 灸術営業者が灸術を施すにあたり膣内に子宮鏡を挿入して子宮を内診する行為(大判昭15・3・19)
(19) 火傷に対し診断のうえズルファミン剤の動脈注射等をなしたり腹膜炎に対し触診や聴診のうえビタカンフル注射等をなしたりする行為(仙台高判昭26・4・1)
(20) 内服薬の用法すなわち飲み方、飲ませ方の指示(大阪高判昭26・12・10)
(21) 患者に対し聴診、触診、指圧等を行ない、その方法がマッサージあん摩の類に似てこれと異なり、交感神経等を刺激してその興奮状態を調整するもので、医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行なえば、生理上危険ある程度に達しているとき(最判昭30・5・24)
(22) 医業類似行為業者が卵黄より精製した一種の薬品を注射し、または硫酸第二鉄等を含有する一種の鉱泉を服用させる行為(東京高判昭31・5・10)
(23) 血圧計を使用して血圧の高低を診断するとともに患者の症状を診察し、その病状に適応すると思料した売薬を指示販売する行為(名古屋高金沢支判昭33・4・8)
(24) 患者から容態を聞き患部に手を押し当てたのち、痼疾だの小心恐怖症だなどと告げ患部に湿布する行為(小松簡判昭34・1・31)
(25) 医業類似行為業者が疾病治療の目的で患者に対しバスハッピと称する一種の医薬品を塗布し、または塗布させるために交付する行為(東京高判昭36・12・13)
(26) 断食道場の入寮者に対し、断食療法を施行するため入寮の目的、入寮当時の症状、病歴等を尋ねる行為(診療方法の一種である問診にあたる)(最判昭48・9・27)


(医行為とされた厚生省通知)

(1) 鍼灸術営業者、柔道整復師等が聴診器を使用して診察する行為(昭6・9・4衛発六九五号)
(2) 血液・血液型、血沈・糞便・尿・淋菌・梅毒等の検査結果に基づく病名の診断、眼底検査、聴力検査(オーディオ・メーターを使用する場合等生理学的検査の範囲に属する行為)、心電図検査、血圧測定、採血、予防接種等(昭47・6・1医事七七号・他)
(3) 眼鏡店において通常の検眼機を用いて行なう検眼(たとえば度数の測定)(昭29・11・4医収四二六号)
(4) コンタクトレンズを使用させるために行なう検眼、処方せんの発行、装用の指導等(昭33・8・28医発六八六号)
(5) 手術刀、縫合針などを使用して行なう二重瞼・口唇縫縮・隆鼻・植皮および植毛、にきび・あざ・しみおよびそばかすの除去(昭39・6・18医事四四号の二)
(6) 美容師が器具を用いて客の耳に穴をあけイヤリングを装着させる行為(昭47・10・3医事一二三号)
(7) 人体に対する作用ないし影響等からみて医師が行なうのでなければ危害が生ずるおそれのある整顔整容法(昭41・9・26医事一〇八号)
(8) 神経痛および高血圧治療と称し患者の腰部または背部にきゅうをすえ、同所をわずかに切開して表皮に接した細筋を針で引き出して刃物ですじを切るいわゆる「すじ切り治療」(昭45・9・2医事一四一号)
(9) 麻酔行為(昭42・5・23医事六七〇号・他)
(10) 処方せんの発行(昭24・2医収二〇八号)

(医行為に該当しないとされた判例)

(1) 自己の掌を患者の前面に差し出してその病気の有無を察知し、さらに患者より自覚症状を聞いてこれを確めたのち、患部に自己の掌を当てて治療するいわゆる「掌薫療法」(大判昭6・11・30)
(2) 患部を察知するため問診および触診をなし、紅草なる野生の植物より採取した紅色を帯びた液汁を刷毛をもって患部に塗布し、その上部を円木にて摩擦して皮膚に湿潤させて施術するいわゆる「紅療法」(大判昭8・7・8)
(3) 灸術営業者が必要に応じ聴診器、血圧計、体温器、音叉打診器、咽頭鏡、舌圧器、知覚計のごときその使用上被術者に危害を及ぼすおそれなき器械類を使用して、施灸に必要なる限度、詳言すれば禁忌症状の有無を知るとともに疾病の治療または予防の目的達成のため最も適切有効なる灸点を定める限度においてのみ診療をなすこと(大判昭12・5・5)
(4) 自己の右示指を患者の眼前に突き出しこれを凝視させながら上下左右に動かして病状を判断する行為(広島高岡山支判昭29・4・13)
(5) 病院における給食業務の一部の業者委託(福岡地決昭43・12・26)


(医行為に該当しないとされた厚生省通知)

(1) 握力、肺活量、血液、血液型、血沈、糞便(寄生虫のみ)、尿、淋菌および梅毒の各検査の結果判定(その結果に基づき病名診断等をしない
場合)(昭47・6・1医事七七号・他)
(2) 医師が継続的なインシュリン注射を必要と判断する糖尿病患者に対し、十分な患者教育および家族教育を行なったうえで、適切な指導および管理のもとに患者自身(または家族)に指示して行なわれるインシュリンの自己注射(昭56・5・21医事三八号)
(3) 眼鏡店において眼鏡の需要者が自己の眼に適当な眼鏡を選択する場合の補助等人体に害を及ぼすおそれがほとんどない程度にとどまる検眼(昭29・11・4医収四二六号)

 上記の判例や通知からもわかるように、過去に医師法違反などの認定において「医行為か否か」を判断したのは、そのほとんどは絶対的医行為への判断であり、医師の医業の遂行に当たっての相対的医行為(診療補助)に対する判断は少ない。
 これは重大なポイントであり、多くのホームページなどで歯科衛生士の職務範囲として論じられていることのほとんどは「絶対的医行為」としてであり、診療補助として「相対的医行為」がどの程度まで認められるのかという視点に欠けているケースが多い。
つまり「歯科衛生士の職務範囲」をあまり狭い視野でみることにおいて大きな利益は得られないので今後の論議が期待されるところである。

● その他の資料

A 注射に関すること
(1)予防接種:予防接種実施規則(昭和33.9.17厚生省令7号)により、「予防注射を行う者は医師に限る事」という行政指導がなされている。
(2)静脈注射:(昭和28.12.22最高裁)判例で「静脈注射は本来医師が行うべき「医行為」である。しかし、看護婦が医師の指示に基づいて行うかぎり違法ではない」という見解がとられている。看護婦が行うときには医師の指示により、又施術者が薬液の作用も熟知した上で看護婦でも良いという判断である。
*静脈注射に関する慣行:
(1)技術的に困難な場合あるいは副作用の強い薬品などについては医師が行う。
(2)薬剤の皮膚反応テストの反応は医師自ら確認し判断する。


B 診療補助
診療の補助もあくまで診療の一部であり、医師の指示や監督があっても、無資格者(歯科助手)は行えない。また看護婦(歯科衛生士)等の有資格者であっても、その行える行為には制限があり、たとえば放射線照射は診療放射線技師しか行えないので看護婦(歯科衛生士)で
あっても行うことができない。

C 研修医又は医学生の医行為
医学生が医行為についてはアメリカでは州法で、イギリスでは行政指導で定められているが、日本国内での対応においては定かではない。

D 問診は医行為に該当するとして無免許医業の成立を認めた判例
問診それ自体は危険ではないが,それによって断食療法を行わせる場合,その療法は医療にあたるとはいえないけれども,問診は医行為に該当するとして無免許医業の成立を認めた(最判昭48・9・27)

E その他の具体的事例

1)握力および肺活量の検査はその結果の判定のみでは医行為に属さないが血圧測定は医行為と考えられる。
2)通常の検眼器等を利用して度数の測定を行うとか,コンタクトレンズを使用させるために検眼し,処方せんを発行し,装用の指導を行うことは医業である。従って医師が上記のことを常時行う場合,病院または診療所でなければ行えない。
3)耳に穴をあけピアスをつける行為
4)麻酔行為 → 参考

F 厚生大臣の指示に従う義務
医師法第24条の2(歯科医師法第23条)

「厚生大臣は,公衆衛生上重大な危害を生ずるおそれがある場合において,その危害を防止するため特に必要があると認めるときは,医師に対して医療又は保健指導に関して必要な指示をすることができる。厚生大臣は,前項の規定による指示をするに当っては,あらかじめ,医道審議会の意見を聞かなければならない」
(例) 厚生大臣の指示「輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準」
    医務局長等の行政通達「ペニシリン製剤に関する規則」,「予防接種実施要領」など

 本条に基づく指示に違反して生じた事故については,医師の行なった診療行為そのものが,診療当時の医療水準に達せず,その結果,患
者に損害を生じたとすれば,その指示に法的拘束力がないにしても,なお民事・刑事の責任や行政処分の際に考慮される事情になりうるこ
とに注意を要する。

★ 以下参考資料

歯科衛生士の職務範囲

歯科衛生士法第二条

@ 歯牙露出面及び正常な歯肉の遊離縁下の付着物及び沈着物を器械的操作により除去すること。
A 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること。歯科診療の補助を行うこと。(13条の2 歯科医師の指示のもとに行うこと。)
B 歯科保健指導を行うこと。

昭和63年8月31日 健政発538 厚生省健康制政策長通知より 
上記通知の別紙の歯科訪問事業の実施内容に「口腔清掃・義歯の使用方法等の保健指導」とあり、訪問担当者に歯科医師及び歯科衛生士とある。

歯科医師会雑誌平成2年11月号より

昭和61年の調査により、「歯科衛生士の歯科診療補助業務の適法性は、主治の歯科医師の指示の適否に係っている。」とし、1つの行為の名をあげて一律に指示の適否をあげるのではなく、患者の状態、その行為の影響の軽重、歯科衛生士の知識技能の状態等によって異なるとされる。

絶対的禁止行為@歯牙の切削A切開や抜歯などの観血処置B精密印象を取ることや咬合採得C歯石除去術のための鎮痛処置を除いた薬剤の皮下注射や歯肉注射。

歯科衛生士の職務範囲(昭和41年8月15日 歯科23より)

○ 合法的 △ 合法的ではあるが具体的には注意が必要 × 不可
診療録に処置内容等を歯科医師の口述によって記入する。 患者の主訴を聞く(カルテに記入は不可)
ラバーダムの装着と撤去 軟化象牙質を取る ×
窩洞形成をする × 窩洞内の薬物塗布
仮封をし又除去する 裏層
X線フィルムの口腔内固定 X線撮影(照射) ×
刷掃指導をする F塗布
充填物の填塞・研磨 インレー・冠の装着 ×
感染根管の治療抜髄・根充 × 歯肉注射・切開 ×
術後の洗浄 歯石除去(歯冠部のみ)
歯周疾患の歯石除去 ○又は× スナップ印象
       
       

歯科衛生士への指示の目安(診療補助の行為の指示の適否)歯科衛生士養成所教授要綱より

  臨床経験の短い者 3年程度の臨床経験 熟練者
患者から予備的に主訴を聞く  
口腔清掃状態の検査
脈拍・体温を計る  
血圧を計る  
ポケット測定(筆者注:第17歯科予防処置に実習項目有り)
EPT  
齲触活動性検査
口腔内の概況検査  
充填物の填塞  
充填物の研磨
充填物の除去(筆者注:除去は良いのか?)  
裏層剤の塗布    
ルートプレーニング  
キュレッテージ    
浸潤麻酔(筆者注:不適当と思われる)    
表面麻酔
歯頚部包帯
X線フィルムの固定
サホライドの塗布(第17歯科予防処置に実習項目有り)
ラバーダム


■ 正当な医行為

他人の体に傷を付けたり(歯を抜く)、劇薬を飲ませたり(風邪薬を処方する)行為は刑法204条などにより暴行罪や傷害罪に問われる。しかし歯科医療という正当な業務の範囲で有れば犯罪にはならない。これは刑法35条「正当な業務による行為は罰しない。」による。

ではどの様な行為が正当な診療業務と認められるのか?それは
@ 治療を目的とすること
A 歯科医学上一般的に認められた方法であること(医療水準論)
B 本人・保護者などの同意があること

を基本とします。ただし、緊急避難的な処置は除きますが。

そして診療の際には以下の義務があるとされています。

@ 善良なる管理者としての注意義務  
専門家としての歯科医師に求められる歯科医療水準に達した医療行為が要求される

A 説明義務                 
患者は自分の身体の状況に対して知る権利があり、歯科医師はこれに対して説明義務がある。ここで言う説明とは民法上の契約関係(民法645条の報告義務)から生じてくる最低限のものであり、インフォームドコンセントとしての説明とは異なる。

B 転医の勧告                
自らの医療水準で治療が不可能な患者に対して、適切な医療機関へ転医させる事を言う。
口腔外科や矯正科、そして一般医科への適切な紹介が必要とされる。
場合によっては補綴専門家への依頼もあり得る。

また、実際の診療に際しては以下のような義務があります。

@ 診療応召義務(歯科医師法第19条)
A 無診察治療の禁止(歯科医師法第20条)
B 保健指導義務(歯科医師法第22条)
C 診療録の記載と保存義務(歯科医師法第23条)
D 患者の秘密を守る義務(刑法第134条)

@ 応召義務の拒否は、正当な理由の有ったときのみ許される。問題は正当な理由とは何かである。

診療応召の義務

医師法第十九条第一項の診療に応ずる義務について

         〔昭和49年4月16日 医発第412号〕
         〔各都道府県知事宛 厚生省医務局長通知〕

 標記についての福岡市長からの照会(別紙1) に対し、別紙2のとおり回答したので貴職においても御了知ありたい。

 (別紙1)
         〔昭和48年9月19日 福衛庶第830号〕
         〔厚生省医務局長宛 福岡市長紹介〕

 
 現在本市に於ては、内科、小児科系の休日急患診療事業の実施について、市と市医師会に於て協議検討中でありますが、この中で医師会側より、休日急患診療体制発足後の医師の応招義務に関する法的解釈をめぐり、疑義が生じ、これが明確且つ、納得いく解釈がなければ、本市の休日急患診療体制の実施が困難な状況に至つておりますので、左記疑義事項についてよろしくご教示下さいますょうお節いします。



 医師法第十九条第一項に「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定されているが、本市に於ける内科、小児科系休日急患診療体制が整備発足したあかつきには、休日急患診療所以外の医療機関に患者が来院し、診察治療を求めた場合、医師が在宅しているが、休日急患診療所が設置されているので休日急患診療所に行くように指示することにより、診察治療をしないことは、前記医師法第十九条第一項の正当な理由による診察治療の拒否と解釈してよろしいか。

(別紙2)
         〔昭和49年4月16日 医発第412号〕
         〔福岡市長宛 厚生省医務局長回答〕


 昭和四十人年九月十九日付け福衛庶第八三〇号をもつて照会のあった標記については、左記のとおり回答する。



 休日夜間診療所、休日夜間当番医制などの方法により地域における急患診療が確保され、かつ、地域住民に十分周知徹底されているような休日夜間診療体制が敷かれている場合において、医師が来院した患者に対し休日夜間診療所、休日夜間当番院などで診療を受けるよう指示することは、医師法第十九条第一項の規定に反しないものと解される。
 ただし、症状が重篤である等直ちに必要な応急の措置を施さねば患者の生命、身体に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、医師は診療に応ずる義務がある。
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応召義務に関しての厚生省通知通達 昭和24年
(1) 診療報酬の不払いがあっても、ただちにこれを理由として診療拒否はできない。  
(2) 診療時間を制限している場合でも、この理由により急患の診療拒否はできない。
(3) 特定の人を相手に診療する医師(会社の医務室勤務等)でも、緊急の診療の求めがあって、近隣に他に診療に従事する医師が居ないときは診療拒否はできない。   
(4) 天候の不良なども、事実上往診不可能な場合を除いて診療拒否はできない。
(5) 医師が自己の標榜する診療科以外の疾病について診療を求められた場合にも、患者がこれを了承する場合には正当な理由になるが、了承しないで診療を求める場合には、応急処置その他できるだけの範囲のことはしなければならない。


参考資料

診療を拒否できる正当な理由:
@医師が不在の場合
A病気、酩酊により事実上診療できない場合
B歯科医師の親族、知人の婚礼、争議がある場合
C患者が酩酊状態の場合
D休日診療などが整備してあり、緊急で無い場合

A 一般的に無診察治療とは、たとえば「歯が痛いと訴えて来院した患者が忙しくて待っていられないから薬だけでもほしいという申し出に対して、無診察で鎮痛剤を処方する。」等を言う。
以下の行為は無診察治療とは言わない。
(1) 通信回線を利用して医療情報を送ることによる診断。
(2) 患者を継続的に診療している場合で、患者の病状に著しい変化が無い場合で、電話によって病状の変化を尋ね、指示を行うこと。

B 診療行為以外ににも患者の療養の目的として、また健康の保持を目的とする保健指導を行わなければならない。

C 診療録は患者と医師との診療契約に基づく診療過程を記載するもので、その記載と保存は大事な職務である。
民事上は文書は証拠能力を有するので、診療録は重要な証拠とされる。


★ 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について

医政発第0726005号
平成17年7月26日

各都道府県知事 殿

厚生労働省医政局長

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

 医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医療を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を反復継続する意志をもって行うことであると解している。

 ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要がある。しかし、近年の疾病構造の変化、国民の間の医療に関する知識の向上、医学・医療機器の進歩、医療・介護サービスの提供の在り方の変化などを背景に、高齢者介護や障害者介護の現場等において、医師、看護師等の免許を有さない者が業として行うことを禁止されている「医行為」の範囲が不必要に拡大解釈されているとの声も聞かれるところである。
 このため、医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為ではないと考えられるものを別紙の通り列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際の参考とされたい。
 なお、当然のこととして、これらの行為についても、高齢者介護や障害者介護の現場等において安全に行われるべきものであることを申し添える。

1 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること・

2 自動血圧測定器により血圧を測定すること。

3 新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルオキシメーターを装着すること。

4 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む。)

5 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等のより患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を尊守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一庖化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。
@ 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定してること。
A 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
B 内服薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと

注1 以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。

@ 爪そのものに異常が無く、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでヤスリがけすること。

A 重度の歯周病がない場合の日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒又は巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること。

B 耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)

C ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)

D 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持を行うこと。

E 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること。
※ 挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6歳から12歳未満の小児用の場合で20グラム程度以下、1歳から6歳未満の幼児用の場合で10グラム程度以下の容量のもの

注2 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。
このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。
 また、上記1から3までに掲げる行為によって測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為であり、事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医師又は看護職員に報告すべきものである。

注3 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は原則として医行為又は医師法17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、業として行う場合には実施者に対して一定の研修や訓練が行われることが望ましいことは当然であり、介護サービス等の場で就労する者の研修の必要性を否定するものではない。
 また、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。

注4 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。

注5 上記1から5まで及び注1に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。
上記5に掲げる医薬品の使用の介助が福祉施設等において行われる場合には、看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきものである。

注6 上記4は、切り傷、擦り傷、やけど等に対する応急手当を行うことを否定するものではない。

 

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