骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016
Top 最終更新日 2017/08/05

■ 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016(抜粋・要約)

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理: 顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016

顎骨壊死検討委員会:

1 日本骨代謝学会
2 日本骨粗鬆症学会
3 日本歯科放射線学会
4 日本歯周病学会
5 日本口腔外科学会
6 日本臨床口腔病理学会
 
a インディアナ大学医学部血液腫瘍内科学部門
b 鳥取大学医学部保健学科
c 島根大学医学部内科学講座内科学第一
d 国際医療福祉大学臨床医学研究センター
e がん研有明病院化学療法部、総合腫瘍科
f 近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科
g 松本歯科大学大学院歯学独立研究科硬組織疾患制御再建学講座臨床病態評価学
h 大阪大学大学院歯学研究科口腔病理学教室
i 徳島大学大学院医歯薬学研究部歯周歯内治療学分野
j 兵庫医科大学歯科口腔外科学講座
k 東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座

ポジションペーパーの背景と目的

本ポジションペーパー改訂版は、2012年10月発行のBRONJに関するポジションペーパー部分改訂版発行から3年以上が経過したこと、その間にデノスマブ投与患者にもDRONJが発生すること、それと並行してARONJの病態に関する報告や治療経験がさらに蓄積したこと、そしてONJ動物モデルを用いた実験的知見が集積し始めたことなど様々な状況の変化に対応するため、その予防策や対応策について統一的見解を提言することを目的として作成された。

骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)

1. 顎骨の特殊性
ARONJが顎骨にのみ発生する理由として、顎骨には長管骨や頭蓋骨など他の骨には見られない解剖学的および細菌学的特徴がある。

1) 顎骨には上皮を貫通して歯が植立しているため口腔内の感染源は上皮と歯の間隙、あるいは根管を経由して顎骨に直接到達する。
2) 顎骨を被覆する口腔粘膜は薄いため咀嚼などの日常活動により傷害を受けやすく、粘膜傷害による感染はその直下の顎骨に容易に波及する。
3) 口腔内には感染源として、歯垢中に800種類以上、1011〜1012個/cm3 の常在細菌が存在する。
4) う蝕、歯髄炎、根尖病巣、歯周病を介して顎骨に炎症が波及しやすい。
5) 抜歯などの侵襲的歯科治療により顎骨は直接口腔内に露出し感染を受けやすい。

2. ARONJの診断

3. ARONJのの発生頻度

1) 骨粗鬆症患者
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 経口投与では患者10万人年当たり発生率は1.04〜69人、静注投与では患者10万人年当たり発生率は0〜90人とされている。また、経口、静注を問わず窒素含有BP治療を受けている骨粗鬆症患者におけるONJ発生率は0.001〜0.01%であり、一般人口集団に見られるONJ発生頻度0.001%とほぼ同様か、ごくわずかに高いと推定されている。

◆.妊離好泪崋N鉄擬
 患者10万人年当たり発生率は0〜30.2人とされている。

2) がん患者
 ONJ発生率は骨粗鬆症患者よりも高い。ゾレドロン酸、またはデノスマブを月1回投与した場合のONJ発生率が前向き研究によりがん患者で検討されている。乳がん、前立腺がん、その他の固形がんおよび多発性骨髄腫を有する5,723名のがん患者について検討した結果、52名(1.8%)のデノスマブ治療患者、37名(1.3%)のゾレドロン酸治療患者、計89名のがん患者にONJ発生が報告されている。

3) わが国におけるARONJ発生

4. ARONJの臨床症状とステージング

 ステージ1〜3

2) BRONJとDRONJとの臨床所見の違い

5. ARONJのリスク因子

1. 局所性

2. 骨吸収抑制剤

3. 全身性

4. 先天性

5. ライフスタイル

6. 併用薬

6. ARONJの発症メカニズム

骨吸収抑制薬の投与と歯科治療

1. 骨吸収抑制薬の投与を受ける予定の患者の歯科治療

者には骨吸収抑制薬治療のベネフィット(有益な効果)とONJ発生のリスクについて説明し、ONJの病状、経過、予後、および処置などについて正確な情報を提供しておく。また骨吸収抑制薬投与前に主治医が患者に歯科受診により口腔内衛生状態を改善するように依頼し、ONJ発生の減少に努める。全ての歯科治療は骨吸収抑制薬治療開始の2週間前までに終えておくことが望ましい。しかしがん患者で骨吸収抑制薬治療を遅らせることができない場合や、骨折リスクが高い骨粗鬆症患者では骨吸収抑制薬治療と歯科治療とを並行して進めることもやむを得ない。骨吸収抑制薬治療中は歯科医師による定期的な口腔内診査を患者に対して推奨し、歯科医師は口腔内診査の結果を主治医に連絡する。また主治医も問診などにより患者の口腔内の状態に留意する。

2. 骨吸収抑制薬の投与を受けている患者の侵襲的歯科治療

1) 侵襲的歯科治療前のBP休薬

このように侵襲的歯科治療前の休薬の可否に関しては統一した見解は得られていない。国際的レベルで、医師、歯科医師、口腔外科医を含むチーム体制での休薬可否に関する前向き臨床研究が望まれる。いずれにしても骨粗鬆症患者に対する侵襲的歯科治療においては、徹底した感染源の除去と感染予防、そして綿密な計画に基づき、細心の手技を尽くして治療を進める必要がある。

2) BP投与中のがん患者、あるいは骨粗鬆症患者の歯科治療

歯科治療に入る前に患者にはONJ発生予防のための日常の口腔清掃の重要性を教育し、毎食後の口腔清掃と、抗菌性洗口剤による含漱、また歯科医師による徹底した口腔管理により、歯垢、歯石、う蝕歯、残根、歯周病、根尖病巣、不適合な義歯、クラウン、ならびにインレーなど感染の原因となりうるものを可及的に取り除いておく。
 歯科治療は基本的にはBPは休薬せずに侵襲的治療をできるかぎり避けるが、ONJ発症の誘因となるような歯の抜去などが避けられない場合は術前から抗菌薬を投与し、侵襲の程度、範囲を可及的に最小に抑え、処置後に残存する骨の鋭端は平滑にし、術創は骨膜を含む口腔粘膜で閉鎖する。

3) デノスマブ投与中のがん患者、または骨粗鬆症患者の歯科治療

4) 侵襲的歯科治療後の骨吸収抑制薬休薬

5) 骨吸収抑制薬再開時期

6) ARONJが発生した場合の骨吸収抑制薬休薬

3. 骨形成不全症(Osteogenesis Imperfecta, OI)治療に注射用BP製剤の投与を受けている小児患者の歯科治療

検ァARONJの治療と管理

1. 基本治療方針

2. ステージングに沿ったARONJの治療

3. ARONJ治療中の骨吸収抑制薬投与

4. ARONJ治療における医科・歯科連携の重要性

日本骨粗鬆症学会の調査によると、歯科医師はARONJ発生と関連しない骨粗鬆症治療薬に対しても休薬を求めることがしばしばあり、歯科医師から休薬依頼のあった薬剤のうち30%近くはBPとデノスマブ以外の薬剤であることが報告されている。したがって歯科医師はBPとデノスマブ以外の骨粗鬆症治療薬はARONJ発生とは関連しないことを再認識しておかなければならない。一方、医師の62%は歯科医師に口腔診査を依頼した経験がなく、また72%は歯科医師と連携した経験がないとの結果が報告されている。これらの報告から、ARONJをめぐっての医師と歯科医師との間にコミュニケーションが不足しており、連携体制が構築されていないことがうかがえる。

后ァ今後の展望

此ァ結論

 

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